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平成28年税制改正によって、贈与された物件の登記要件が緩和されました。
つまり、従前は居住用不動産(土地・建物)の贈与を受けた者が配偶者控除を適用できる要件は、申告書又は更正の請求書に所有権移転かつ登記済みの登記事項証明書の添付が必須の要件となっておりました。
今回の改正では、従前の処理に加えて、贈与契約書等の添付によっても、配偶者控除の適用ができることとなりました。
ただし、登記制度が持つ公示や対抗要件などの問題を十分考慮したうえで、処理を考える必要があります。贈与契約書等で配偶者控除の適用を受ける場合には、①公正証書で契約する、②最低でも確定日付を公証人役場でとるなどはしておいたほうが良いと思われます。
適用時期 | 添付書類 |
平成27年12月31日まで | 登記事項証明書 |
平成28年1月1日以後 | 登記事項証明書 贈与契約書等 |
※今回の改正では、従前より土地・建物評価額が2,000万円(基礎控除と合わせて2,110万円)の相続税評価額までは、贈与税はかかりませんが、流通税(登録免許税・不動産取得税など)や登記費用などの諸経費が100万円近くに(超える場合も)なることを解消させる意図があります。
※将来売却する場合などのことも考えて、専門家にご相談ください。
上記において、平成28年度税制改正においての贈与税の配偶者控除の適用緩和要件を記載しましたが、あくまでも登記制度の利点である「公示制度」「第三者対抗要件」を満たすことは、後々のトラブルを防ぐためにも必要かと考えております。
信託法の改正によって、巷では民事信託の活用が取り沙汰されております。
配偶者の税額控除制度と従前までの流通税対策を考慮した上で、下記のようなスキームも考慮の一つかと思われます。
例えば、夫が所有している居住用の土地・建物を妻へ贈与する場合に、
①信託契約を結ぶ
委託者:夫 受託者:(夫・妻以外で信頼出来る者) 受益者:妻
信託契約を結んだ段階で贈与が発生します。この場合の登記原因は、「所有権移転かつ信託設定」です。
委託者ノットイコール受益者となりますので、他益信託となります。ただし、信託による登記(所有権移転)に関しては、流通税が登録免許税(土地に関しては平成29年3月31日までは0.3%・建物に関しては0.4%)となりかなり軽減されます。
②自己信託(信託宣言)を公証人役場においてする
(1)贈与税の配偶者控除とは
※婚姻期間期間20年以上の夫婦間でマイホーム(マイホームを取得するための金銭を含む)を贈与する場合には、最高2,000万円(贈与税の基礎控除110万円と合わせると、2,110万円まで)の配偶者控除を受けることが出来ます(贈与税がかりません)。
つまり、夫婦の間で居住用不動産又は居住用不動産の購入資金の贈与があった時には、贈与税の申告をすれば、基礎控除最高110万円の他に最高2,000万円までの配偶者控除が受けられます。この贈与税の配偶者控除は、同じ配偶者間において一生で一度しか受けることが出来ません。生前贈与の加算もありませんので、相続対策を検討されている方は、是非考慮しましょう。
※婚姻期間20年の判定は、その年の1月1日現在において判定します。
1年未満切捨てと覚えておくとわかりやすいと思います。
同棲期間や内縁期間は適用出来ません。あくまで、戸籍判定です。
(2)贈与資産
①居住用不動産(国内にある居住用の土地、借地権、家屋)
②居住用不動産の取得資金
(3)居住要件
贈与した年の翌年3月15日までに居住し、かつその後も引き続き居住する見込みであること
(4)贈与税の配偶者控除のデメリット
税金がかならいのは、あくまで贈与税(国税)です。
不動産取得税や登録免許税は相続で取得するよりも、高額の税金がかかってきます。
税金対策を考えるときは、必ずメリットだけでなく、デメリットも考慮しながら検討しましょう。
贈与税の配偶者控除の適用を受け者は、相続開始前3年以内であっても相続税の課税価格に加算不要(贈与した年に死亡した場合にも加算不要)。
(1)将来の相続税対策を重視する場合
家屋の相続税評価額は減価していく(償却される・価値が減少していく)ので、減価のない土地のみを贈与する(または土地の割合を大きくする)。
(2)将来売却する可能性がある場合
居住用財産の譲渡の特例(土地のみの譲渡×)を考慮して、土地と建物の一部づつを贈与し、共有状態にして、共有登記する。
確認する資料【贈与税申告書に添付する書類】
①登記簿謄本
所有権異動日、共有割合など確認
②戸籍謄本及び戸籍の附表(贈与日から10日経過した日以降)
婚姻期間、住居の居住状況など確認
③預金通帳等(金銭贈与の場合)
贈与日、贈与金銭、振込人など確認
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