企業経営にとっての永遠のテーマ

資金繰り・キャッシュフローについては、会社・企業経営にとっての永遠のテーマであると思います。不況になれば資金繰りが悪化するのは明らかですが、不況・赤字体質から脱しようとする成長している会社でも、資金不足が生じやすい現状もあります。資金不足を避け、財務体質を強化するためにはどうしたらいいか。このページでは、「皆様の少しでも助けになれば」という事項を出来るだけ簡単・明瞭に解説出来たらと思います。

キャッシュフロー計算書(資金繰り表)による指導

技術革新や業界の再編などによりめまぐるしく変化する経営環境、消費者ニーズの多様化、デフレの状況の下での価格競争の激化、経済の地域格差など、中小企業を取り巻く状況は厳しさを増しています。

御社の税理士はキャッシュフローの説明はしますか?

貸借対照表や損益計算書・製造原価報告書以外にキャッシュフロー計算書を持ってきてくれるでしょうか?

「どうすれば売り上げを伸ばせるか」

「どうすれば固定費を含め、経費を減らすことが出来るか」

「継続的な黒字決算実現のためにはどのような手を打ったらよいか」

などといったことを多くの中小企業経営者が抱えていることでしょう。

資金繰りの改善は経営者にとって最も悩ませるテーマのひとつであることは間違いありません。

【試算表では利益が出ているのに、いっこうに手元にお金がない】といった懸念がある経営者の方には、キャッシュフロー計算書による分析がお勧です

特に、建設業・不動産業などを中心に手形による決済が主な会社にとってはなおさら重要です。数年前(ここ最近でもさけばれてますが)、建設会社の黒字倒産が問題になりましたよね。

是非、資金繰り対策を強化してみてください。

キャッシュ・フロー計算書の重要性〜損益計算書・貸借対照表だけでは問題〜

キャッシュ・フロー計算書とは簡単にいうと会社の一定期間における、実際の現金、預金の流れ(つまりキャッシュ・フロー)を表すものです。よく「資金繰り」といいますが、会社の現金収支を表したものといってもいいと思います(家庭でいう「家計簿」)。税理士事務所では、顧問先から預かった伝票や入力してもらったデータから貸借対照表と損益計算書を作成します。月次の訪問での説明もこの資料をもとに行われるのが通例です。一般的に会計では、商品・製品を売った段階で(売掛金・後日入金)売上を計上し、材料を買った段階(買掛金、未払金・後日支払)で仕入を計上します。よって「売上と現金収入」「仕入と現金支出」が大きく異なります。現金商売や小さな商店なら大きく差異はありませんが、現金で仕入れたり、現金で支払ったりするには限度がありますので、通常は掛け決済が行われている会社が大半です受取手形や支払手形などの手形決済が行われているなら尚更です。

 

キャッシュ・フロー計算書を利用するメリット

恣意性が入る可能性がある利益よりも客観性・信用性が高い

会社経営者の一番の関心である「資金繰りの状況」がわかります

黒字倒産を起こさないために

黒字倒産という言葉が新聞ではやりました。「黒字」とは、文字通り、利益が出ている→損益計算書上で儲け(利益)を計上しているということです。上記にも示しましたが、会社が商品・製品(又はサービス)を相手先に納品すれば、売上は計上されますが、手元にはお金は一切入金されていません。どんどん販売しても代金を回収出来なければ、お金はどんどん減っていきます

また費用にしても、実際に売却したものに対応して計上(費用収益対応の原則)していくのが基本ですので、どれだけ在庫を抱えていても損益計算書上費用にはなりません(棚卸資産・製品・貯蔵品など)。さらにこの在庫にもさまざまな評価基準・方法が認められており、企業ごとに一律ではありません。 このように利益や費用は会計上のルールに従って計算されますので、このルールと現実のキャッシュの動きがかい離している状況にあります。

よって、計算上は利益が出ていても、予期せぬ相手先の倒産などで予定したお金が入ってこず、また銀行への借金が返済することが出来ずになってしまい、現金不足が原因で倒産が起こってしまう。このように現金の入出金を把握することは非常に重要です。

 

キャッシュ・フローの重要性

最近では、企業の財務体質を表すのに利益からキャッシュ・フローへと移項しています。なぜ、キャッシュ・フローが重要なのでしょうか?利益とキャッシュ・フローをイメージ化すると、

利益(会計上、ルールによる計算)=収益―費用 

税務上では、課税所得=益金−損金 

キャッシュフロー(実際の収支)=収入−支出

一方、実際の現金の動きを示しているキャッシュ・フロー計算書は、実際に現金が動いた事実を記しているため、しかも基本的に、ルールに企業ごとのブレもありませんので同じ土俵での比較も可能です。 つまり、利益イコール資金繰りとはなりません

「利益」は現金化されるまでは安心できない

「キャッシュ」が手元にあれば、企業は存続が出来る 

キャッシュ・フロー計算書とは(経営活動の診断書として有効に使いましょう)

「本当の現金の流れを示す計算書」です。いかに、キャッシュ・フロー計算書が重要かお判りいただけたと思います。以下の章では、キャッシュ・フロー計算書の見方について触れたいと思います。

ちなみに、会計用語として使われる「キャッシュ」とは、

キャッシュ:現金及び現金同等物といわれます。一般的には、貨幣や紙幣のお金、普通預金や当座預金、短期の定期預金(3ヶ月以内のもの)などです。よって、3ヶ月を超える定期預金や定期積み金はキャッシュには入りません(通常は「投資」になります)。

 

キャッシュ・フロー計算書〜会社の経営を現金の流れから把握する〜

キャッシュ・フロー計算書のキャッシュとは上述した通り、「現金及び現金同等物」、すなわち「お金」です。また「フロー」は「流れ」「増減」などと訳されます。よって、キャッシュ・フロー計算書とは、一定期間の現金の増減を現わした計算書ということが出来ます。

財務諸表における各役割 

貸借対照表:資金をどのように調達し、運用しているかを示している。

損益計算書:会社が一定期間でどのくらい利益を出しているのかを示している。

キャッシュ・フロー計算書:一定期間内のお金の増減を示している。 つまりお金が

中小企業庁 中小企業の会計38問38答  キャッシュフロー計算書ひな形

3つの計算書は互いに経営状態・財政状態・資金収支を表しています。これらを全体的に把握するとよりよく会社の状態を把握することが出来ます。

求められるキャッシュ・フロー経営 

上場企業においては、キャッシュ・フロー計算書は、損益計算書、貸借対照表と同格の計算書と位置付けられています。上述した通り、損益計算書、貸借対照表では、見えないお金の流れがわかります。キャッシュ・フロー計算書を分析することにより、中小企業では、損益と同様に重要な資金の流れをつかむことを可能とします。 会社はもちろん「利益」を追及することが必要ですが、手元にどれだけ「キャッシュ」をもち、いかにうまく使えているかも必要不可欠となっています。 キャッシュ・フロー経営とは、まさしく損益計算書上の利益を追求するだけでなく、その企業活動において、「どれだけのキャッシュ(現金資金)を稼ぎ出せるか」ということを重視する経営です。

キャッシュ・フロー計算書の構造

キャッシュ・フロー計算書は、会社の資金の流れを体系的に捉えることが出来るように、一会計期間の現金の流れを、「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」の3つに分類しています。

(1)営業活動によるキャッシュフロー (最も注目すべき本業による現金の流れ)

営業活動によるキャッシュフローでは本業による収入と支出の差額」を表します。つまり、会社が商品やサービスで得た収入から、商品やサービス購入による支出、営業活動に必要な諸経費を差し引いた、いわば本業で稼ぎだした現金の増減を現わします。この項目がプラスの会社は、本業が順調に伸びているといえます。逆にマイナスの会社は、本業で苦戦しており、現金不足で苦しんでいる、経営状態が悪いといえます。この項目がマイナスの会社は、少し危険な会社であり、2期連続マイナスとなると、金融機関が融資引き上げを検討するといわれます。

記載内容

商品の販売による収入や仕入、経費の支払いのための支出によるお金の増減

売掛金、買掛金、受取手形、支払手形などによるお金の増減

投資活動、財務活動以外の取引によるお金の増減

法人税などの支払額

営業キャッシュ・フローを増加させるには?

なによりも本業であるキャッシュ・フローを増加させることが企業経営においては重要かつ必要不可欠です。下記にも記載の通り、営業キャッシュ・フローは投資活動によるキャッシュ・フローの元手にもなりますし、本業でのキャッシュがマイナスになると銀行の融資頼みの経営になっています。

@営業利益を増やす

営業キャッシュフローを増やす得策は何よりも本業の利益を増やすことです(これが一番難しいのですか・・・)。結局本業で儲けて営業利益が増えないと、なかなか純利益も増加しません。

A売掛債権を減らす

売上債権が増加し、売上代金の入金が遅れると、手持ちのキャッシュが減少し、資金ショートを

起こします。売掛金、受取手形などの売上債権の回収は出来る限り早くし、債権残高を減らすことが出来るように工夫しましょう。

B仕入債務を増やす

商品・製品・部品・材料などの仕入れ代金の支払いは出来る限り遅らせた方がキャッシュが出ていくのが遅くなり資金繰りは楽になります(Aの売掛債権を減らすの逆です)。しかし、支払いが遅いということは、値引き交渉が難しくなるだけでなく、その期間損失分の利息を差し引かれるなど商品の利益率悪化を招きますので、支払いを遅らすのもほどほどがよいです。

C在庫を減らす

在庫が手元に残るということは、キャッシュを出して買い付けた商品や製品が売上という形で現金化せず、手元に残りますので資金繰りが悪化します(節税対策でも述べました)。出来る限り、在庫を減らし、回転率を速くすることが本業によるキャッシュ・フローをプラスに好循環させます。

 (2)投資活動によるキャッシュフロー(投資の内容で会社の将来を予測する)

投資活動によるキャッシュフローでは会社の将来の利益獲得のために、どのくらいお金を資または回収したかを表します。建物建設、機械装置などの設備購入、投資目的の有価証券、貸付金の支出や回収などの投資によるキャッシュフローを示します。どのような投資をしたかを検討することで、その会社の将来の経営戦略を予測することが出来ます。新規事業開発に現金を投資しているなら、積極的な投資を行っていると判断されます。よって、設備投資などでお金が出ていく場合に、投資活動によるキャッシュフローはマイナスでも問題ありません。逆にプラスであると、資産を売却または貸付金の早期回収を図っているなど「資金不足でお金に困っている」と見なされかねません。通常、投資のうち最も金額が大きいのは設備投資です。このキャッシュをどこから持ってくるかというと会社の本業の儲け。そこで投資活動によるキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローよりも小さくなるのが理想といわれます(しかし、大きな設備投資の場合には、銀行融資=財務活動によるキャッシュ・フローによるのが大半ではないでしょうか)。

記載内容

有形固定資産などの取得又は売却によるお金の増減

有価証券などの取得又は売却によるお金の増減

新たな貸し付けや貸付回収などによるお金の増減

(3)財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動によるキャッシュ・フローでは、会社が上記の営業活動や投資活動を行っていくうえでどのくらい金融機関などから不足した資金を調達したか又は返済したかを現したものといえます。ちなみに「財務活動」とは、企業が営業活動や投資活動を行うための活動で、銀行からの借入(長期・短期)、社債の発行や償還、配当金の支払いなどをいいます。財務活動によるキャッシュ・フローでは、財務活動全般にわたるお金の流れがわかりその会社の資金調達能力が見て取れます。資金調達は会社のお金が増えるので、キャッシュフローがプラスに、借金の返済はキャッシュフローが減るのでマイナスとなります。もちろん返済を積極的に行っている場合や配当金を増やす場合などマイナスとなることもありますので、一概にマイナスが悪いということはありません。が、あまり多額なマイナスになることは避けたいものです。

記載内容

資金の借入れ、返済などによるお金の増減

増資などによるお金の増加

社債の発行や償還ばどによるお金の増減

               一部:中小企業の会計(中小企業庁)参照

 

 

 

 

 

 

フリーキャッシュフローとは〜会社が自由に使えるお金・会社の価値を表す〜

フリーキャッシュフローという言葉が、注目されています。会社の資金は絶えず循環してます。会社が利益を出せば、そのキャッシュを遊ばせているわけではありません。投資をしたり、借入の返済したりです。フリーキャッシュフローとは、会社が生み出したキャッシュ・フローから設備投資などの現金支出を差引き、手元に残った会社が自由に使うことが出来るお金(つまり純現金収入・余剰資金)のことです。フリーキャッシュフローは、会社の価値を表します。そのため、会社の経営努力を行う場合の判断基準として利用されます。フリーキャッシュフローが多いほど経営状態の良い会社だということが出来ます。何にいくら使うかは、会社の経営手腕が問われるところです。

【フリーキャッシュフローの使途】 

 項目  フリーキャッシュフローの使用方法
 事業活動の拡大    新規事業のための投資や貯金
 株主への還元         株主への配当金支払、自己株式取得
 財務体質の改善       借入金の返済

【計算方法】

フリーキャッシュフローでは、何をフリーキャッシュフローとみなすかによっていくつかの計算方法がありますが、営業キャッシュフローに投資キャッシュフローを加える(普通はマイナスする)のが一般的です。ただし、投資キャッシュフローは、上述したように、資産処分などを進めている場合にはプラスとなることもあります。

フリーキャッシュフロー=営業キャッシュフロー+投資キャッシュフロー

自由に使えるお金     本業で稼いだお金      将来の利益獲得   

                営業活動で稼いだお金    事業を継続資金・設備投資

 

 

 

 

▲このページのトップに戻る