相続時精算課税制度の見直し

平成15年度に新たに出来た税制ですが、相続が課税される家系世帯には問題があると言われることもあります。

また平成27年1月からの基礎控除の改正なども問題が出てくるかと思われます。

 

この相続時精算課税制度については、平成27年1月1日以後の贈与により取得した財産にかかる贈与税について下記のように改正されて適用されることとなります。

 

具体的には

@贈与者の年齢要件を緩和する

A適用対象者の範囲を孫まで拡大する

といった改正です。

 

  改正前 改正後
贈与者 65歳以上の者   60歳以上の者
受贈者 20歳以上の推定相続人 20歳以上の推定相続人
20歳以上の孫(改正点)

「20歳以上」及び「60歳以上」の年齢の判定は、その年1月1日現在の年齢によります

相続時精算課税制度の趣旨・概要

平成15年度から従来の贈与(暦年課税制度 贈与税の基礎控除110万円)に加えて、相続時精算課税が誕生しました。相続時精算課税は、非課税額が大きいため、利用者が多いようです(実際近畿税理士会の確定申告の電話応対でもかなりの件数の質問もありました)。ただし、うっかりすると思わぬ落とし穴・税金がかかることもありますので、相続時精算課税について確認したいと思います。


相続時精算課税制度は、高齢者の資産をスムーズに次の世代に渡すために設けられた制度です経済政策の一環でもあり、財産の贈与を受けた人がお金を使い、お金が循環することを期待して導入されました。

 

相続時精算課税の適用を受けると、2,500万円までの贈与であれば、贈与税はかかりません。しかし、贈与者が亡くなった時には、遺産にその贈与を受けた財産を加えて相続税を計算しなければなりませんこのような相続時に精算を行うことにより、贈与税と相続税の一体化させる制度です。遺産が相続税の基礎控除額以下の方には、大変良い制度ですが、基礎控除額を超える方には、あまりお勧めではないともいえる制度です(贈与時にかなり価値が低下している、今後かなりの財産価値の上昇がみられる方など有効な場合もありますが)。

例)

@今後2、3年のうちに所有している農地が、市街化調整区域から市街化区域へ編入される。

A今後土地が、区画整理が予定され、街並み整理が行われた後、地価の上昇が期待できるなど。

 

相続時精算課税制度とは

事項の平成23年度改正と比較するため、あえて平成22年度の税制について確認します。 

(1)相続時精算課税制度とは

贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。したがって、相続時精算課税の選択を行った場合に、その贈与者が亡くなったときには、相続時精算課税を適用して贈与を受けた財産を相続財産に加算して相続税の計算を行います。この計算の結果、相続税の基礎控除額以下であれば相続税の申告は必要ありません。
(注) 相続税の申告の必要がない場合でも、相続時精算課税を適用した財産について既に納めた贈与税がある場合には、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。

要は、相続財産を前倒しでもらう制度です。上記にも記載しました通り、相続対策をされる方には、よっぽどな場合でないとあまりお勧めできる制度ではありません。

 

(2)適用対象者(平成22年度ベース・住宅取得資金贈与を除く)

贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(子が亡くなっているときには20歳以上の孫を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。

 

(3)適用回数(年度)

贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。

 

相続時精算課税を選択する贈与税の申告書に添付する書類

相続時精算課税を選択しようとする受贈者は、選択をしようとする贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して、「相続時精算課税選択届出書」を贈与税の申告書に添付して提出しなければなりません。
なお、この届出書には、次の書類を添付することとされています。
1   受贈者の戸籍の謄本又は抄本その他の書類で、次の内容を証する書類
イ  受贈者の氏名、生年月日
ロ  受贈者が贈与者の推定相続人であること
2   受贈者の戸籍の附票の写しその他の書類で、受贈者が20歳に達した時以後の住所又は居所を証する書類(受贈者の平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類でも差し支えありません。)
3   贈与者の住民票の写しその他の書類(贈与者の戸籍の附票の写しなど)で、次の内容を証する書類
イ  贈与者の氏名、生年月日
ロ  贈与者が65歳に達した時以後の住所又は居所(贈与者の平成15年1月1日以後の住所又は居所を証する書類でも差し支えありません。)

相続時精算課税制度に関する平成22年税制改正(住宅資金の1,000万円特例廃止)

住宅取得資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例について、特別控除の上乗せ(以前は1,000万円上乗せが可能でした)の特例が廃止されました。以前の税金の制度をご存知の方によく質問を受けますので、念のため、この項目にて確認致します。特別控除の上乗せ(1,000万円)はなくなりましたが、従前から可能である一般の相続時精算課税制度の制度自体は存在していますので、住宅取得資金の贈与であっても、2,500万円までは税金はかかりません(今回相続時精算課税制度適用が初めての方)。相続時精算課税の贈与に係る相続時精算課税の特例の上乗せ(1,000万円)がなくなった理由は、平成21年度税制改正で設けられた住宅取得資金の贈与税の課税の特例の非課税限度額(当時500万円)が平成22年度の税制改正より、平成22年度は、1,500万円、平成23年度は1,000万円へと引きあげられたからです。

平成23年度では、住宅取得資金の贈与の特例(1,000万円)相続時精算課税の特例(2,500万円)と合算して、3,500万円までの贈与については、贈与税は課税されません。

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