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個人または農業生産法人が、農地を売り、譲渡益が発生すると、その譲渡益に対して所得税又は法人税がかかりますが、農業委員会のあっせんなどにより農地を地域の担い手に売った場合には、その譲渡益から一定額が控除(特別控除)されます。
つまり、農地等の譲渡が譲受人の農業経営の規模拡大等政策上望ましい方向で行われることを助長するため、農地等が一定の要件に該当する形で譲渡された場合には、農地等を譲渡した者の所得税等の課税につき次のような優遇措置が講じられています。
譲渡所得金額=譲渡収入金額−(取得費+ 譲渡費用) − 特別控除額
税額= 譲渡所得金額× (15% +5% )
【所得税15%・住民税5%】
※短期譲渡所得(取得後5年以内の売却)の場合の税率は、30%、9% となる
(1)農地の譲渡所得税の800万円特別控除制度(概要)
①農業経営基盤強化促進法の利用権等促進事業で農地を売った場合には、譲渡所得について800万円の特別控除が受けられます。
②農業委員会のあっせん(農地移動適正化あっせん事業など)により、認定農業者等に農地を売った場合には、譲渡所得について800万円の特別控除が受けられます。
③農地保有合理化法人に売った場合には、譲渡所得について800万円(買入協議によって売った場合には1,500万円)の特別控除が受けられます。
※農地法第3条に基づき売買した場合には、特別控除制度は受けることが出来ません。
(2)農地保有合理化事業とは
「農地保有の合理化」とは、日本農業の特徴ともいえる零細な経営や、零細な農地の保有形態を、より効率的に農業生産が展開できるような形にすることにあります。
つまり、担い手農家の経営規模の拡大や、農地の集団化などを行うことで、効率的な農業生産が行われるようにしようということです。
「農地保有合理化事業」は、離農農家や規模縮小農家等から農地を買入れ又は借入れ、規模拡大による経営の安定を図ろうとする農業者に対して、農地を効率的に利用できるよう調整した上で、農地の売渡し又は貸付けを行う事業です。
「農地保有合理化法人」は、農業経営基盤強化促進法の規定に基づき、農地保有合理化事業を行う主体として位置付けられた法人をいいます。
(3)農業経営基盤強化促進法の概要(詳細は別記載)
農業経営基盤強化促進法とは、効率かつ安定的な農業経営を育成し、その目標に向けて農業経営の改善を計画的に進めようとする農業者に対する農用地の利用集積を図り、これら農業者の経営管理の合理化などの農業経営基盤の強化を促進するための措置を総合的に講じたものです。
①農業経営基盤強化促進法と農地の納税猶予
上記(2)の農地保有合理化事業(農地保有合理化法人が行う農用地売買、借受貸付け等の事業)で一定のもの、農業経営基盤強化促進事業(市町村が行う農用地利用集積計画に基づく農用地についての利用権の設定)の一環として貸し付けられた農地などが、納税猶予の対象となります。
②農業経営基盤強化促進法に伴う利用権設定等促進事業の概要(詳細別記載)
(ア)利用権設定等促進事業の概要
・「利用権設定等促進事業」とは、市と農業委員会が貸し手と借り手の間に入り貸借契約を成立させます。これまでのような農地法第3条の許可申請手続きは必要ありません。
・離作料(離作補償)の心配も無く、貸し手・借り手間の契約期間が終了すれば所有者へ農地が返還される制度です。
・一定の条件の下で、非農業者(=農作業に常時従事しない個人)や農業生産法人以外の法人も利用権の設定を受けることができます。
注)「利用権」とは、賃貸借権または使用貸借権をいいます。
(イ)利用権設定等促進事業の留意点
①この制度によって農地の貸し借りができるのは、市街化調整区域内の農地や都市計画区域外の農地、市街化区域の生産緑地など厳密な制限があります(市区町村により異なります、農業委員会などに確認が必要です)。
②利用権を設定する農地は耕作のために利用されるものに限られます。
また、すでに所有または貸借している農地も併せて耕作することが条件となります。
③借り手が見つかり利用権の設定が成立するまで時間を要することがあります。利用権設定が成立するまで、農地所有者において農地を適正に利用してもらうことが必要です。
④相続税納税猶予制度の適用について
平成21年度農地税制が改正され、相続税の納税猶予の特例を受けている農地を貸し付けた場合でも、一定の条件のもと納税猶予は打ち切りとなりません。
(4)農地移動適正化あっせん事業の概要
農業委員会では、農地を売りたい貸したい人と、買いたい借りたい人を結び付け、農地の流動化をすすめる事業を行っています。
①農地移動適正化あっせん事業の目的
この事業は、農用地等の権利(所有権、賃借権、その他の使用収益権)の移動が、農業によって自立しようとする意欲と能力を有する農業生産の中核的担い手となること
を志向する農業を営む者(農業生産法人、農業後継者及び新規就農希望者を含む。)の農業経営の規模の拡大及び農用地等の集団化に寄与し、かつ、農業振興地域整備計画に定める将来育成しようとする農業経営をできるだけ早く育成するために実施するものである。
高齢や病気等で管理できなくなった農地を、これから農業を始めたい人・経営規模を拡大したい人に提供することによって、遊休農地・荒廃農地をなくし、農業振興をはかる取り組みです。
農地移動適正化あっせん事業の対象となる「農用地等」には、農業振興地域の整備に関する法律に定める農用地等です。つまり、農業振興地域内にある農地(抵当権等が設定されていないこと)です。
②事業の対象となる農用地等地域
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